群青のマグメル ~情報収集と感想

『群青のマグメル』と第年秒先生を非公式に応援

群青のマグメル 第5話振り返り感想 ~人界では会いたくない男

第5話 インヨウとゼロの日常 20P

原題:因零日常

物悲しい締めとなった前回から気持ちを切り替えるギャグ回です。次回から長編に入るので、その前にヨウとゼロの日常を見せることで読者に対する2人の紹介を一通り済ませるための回でもあります。

初っ端から週刊少年ジャンプの探検漫画のパロディ3連発です。これは『群青のマグメル』の中国での掲載誌である漫画行が、中国大陸で唯一の正式に週刊少年ジャンプの漫画を掲載している雑誌だから実現できたことですね。第年秒先生がこれらの漫画のファンで自分でも探検の話を考えてしまうことがあるという発言は別の出版社と契約していた2010年時のインタビューからも確認できます。しかし『群青のマグメル』第1巻の作者コメントで「当時は漫画にすることなど考えてしませんでした」と書いていることから、『群青のマグメル』の連載そのものがジャンプと関係の深い漫画行に移籍したからこそ実現する気になれたものだと言えそうです。このページのオチであるパンツ大好き漫画編集者こと海玉子さんは漫画行で第年秒先生の担当編集をしている方がモデルで、この後の話で写真として再登場するだけでなく、彼の担当する他の漫画でも度々登場しているそうです。

今回は3人目の読者目線キャラクターとして、人界での普段のヨウのことを知る冒険用品店の店主である田伝親父が登場します。ちなみに田伝親父は中文版では田叔(田おじさんの意)で、店の看板に「田氏冒险用品」と書いてあるのは日本語版でもそのままです。田伝親父は冒険者相手の商売をしつつもマグメルには行きたくない男です。そんな彼の目にうつるヨウはただの迷惑な男でしかありません。ある意味で鍛え上げられた生活力の賜物かもしれませんが、小手先の技から構造力の浸透、果ては構造力を悪用した小芝居を打ってまでありとあらゆる手で値切りを迫るヨウは本気で厄介ですね。そんなヨウが一転してマグメルでは非常に頼りに見えるというオチで、田伝親父を助けるシーンの構図もかっこ良く決まっています。ヨウの魅力はどこまでもマグメルと連動しているようです。

ラストのページは次回の予告的な内容で、とうとうマグメルからスカイホエールが帰ってきたことで序章の終わりを予感させます。同時に4人目のメインキャラクターである彼(の幻想構造)の目が描写され、新展開の到来が告げられます。