群青のマグメル ~情報収集と感想

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群青のマグメル 第33話感想 ~黒い瞳の彼は

第33話 新たな幕 20P

原題:决定过去的未来(直訳:過ぎ去りし未来での決定)

今回はきちんと読んでいればすぐにわかる仕掛けがいくつか組み込まれているのですが、もう少し核心に触れる描写があるまで詳しく言及するのは控えたほうが良さそうですね。そういうわけでできるだけ当たり障りのない部分だけの感想です。

冒頭の文章は中文版では

光阴荏苒 日月如梭

となっています。日本語版と比べると時が過ぎることより時が巡ることのニュアンスが強いです。これは石玉崑作の『三侠五義』という古典武侠小説の一節から引用したもので、いかにも以前武侠漫画を連載していた第年秒先生らしいチョイスです。古典からの引用という今までとは異なる雰囲気で幕を開けた今回は、話の舞台も今までとは異なっています。少年ではなく完全に青年で黒い瞳のヨウと呼ばれる人物と、童女ではなく年頃の少女で黒髪(?)のゼロと呼ばれる人物が出てきます。

2人はこの半年鍵を持って宝箱探しをしていました。この鍵は第8話と第10.5話で出てきた鍵と同一のものだと思われます。そして宝箱探しというのは少なくとも中文版ではオーフィスの隠し財産探しのことですね。まず人間の介在なしでマグメルに小切手入りの宝箱が出現したりはしませんし、わざわざマグメルに自分の財産を宝箱という形で隠して他人に探させるような人物がオーフィス以外に存在するとは考えづらいです。むしろ今回の話のためにオーフィスをこのような人物に設定したと見るべきでしょう。またこの鍵と同タイプの鍵をオーフィスの娘であるトトが第26話で持っていました。さらに日本語版で「嬢ちゃんの冒険の手掛かりもワシが掴んだのに!」となっている部分は、元の意味では「自分はあなたに大冒険をさせてやった恩人である」といった内容です。つまりこの冒険は宝箱の鍵から、いい加減なヒント、賞品の小切手に至るまで全てオーフィスがプロデュースしたものであるということです。

ただ日本語版だと説明の順序などがアレンジされていることはよくあるので、次号あたりにオーフィスが実は自分のプロデュースであったとネタばらしをする台詞が加わっているのかもしれません。その場合この文章はかなり恥ずかしい勇み足ですね。

探険から帰ってきたヨウとゼロを拾人館で待っていたのがトト・ビックトーとオーフィス・ビックトーの親子、そしてティトールです。ビックトー親子は第24~26話でも出番があった2人です。ティトールは現在のところ正体不明ですが、その謎の素性がいかにも重要な意味を持ちそうです。ティトールは同じナイスバディでも若々しい可愛らしさの目立つエミリアと違って、いかにも大人のお姉さんといった成熟した魅力があり、今までの『群青のマグメル』にはいないタイプの美人ですね。

一方でトトとゼロの会話でヨウが普通ならばとてもできないはずのゼロとの冒険と拾人館の仕事の両立をしていたことが明らかになります。ゼロもそれに対して一旦は疑問を持つのですが、すぐに両立可能な理由について心当たりが浮かんだようです。この理由というのも今回の舞台について考えるのに必要な要素になりそうです。