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群青のマグメル 第16話振り返り感想 ~拾因の瞳の黒

第16話 拾因の繭 20P

原題:空想之因(直訳:空想の因)

エリン3種族の首領格がヨウの残した文字に好奇心を発揮したばかりに、策略に嵌って爆風に巻き込まれます。第8話で触れていた1時間おきにダーナの繭の壁に穴が開けられるという伏線をしっかり回収しています。プーカ族の首領は同族の他の個体と違って人の服に着替えずエリンらしい格好のままなので、人を捕食するよりも同族を統率することを優先していたようですね。それでいて不敵な雰囲気もあり、生真面目そうな鬼に似たエリンと合わせて、この回で死亡するキャラクターもしっかり個性を出しておくところに第年秒先生の丁寧さを感じます。

ところでエリンたちの気を引くのに使った壁文字ですが、日本語版では「さよなら 張元首!」ー5秒童話となっている箇所は中文版だと「本座从小习武就是为了能在光天化日调戏良家妇女的梦想」ー某漫画となっています。長安督武司の第25.5話の2Pの台詞とほぼ一致するのでここが他の漫画のパロディでなければこれが元ネタで、出版社を移籍したので某漫画とぼかしているようです。日本未発表作品であることと字数の関係で日本語版では変更となったのでしょう。また、変更といえば日本語版の単行本では壁の文字の答え合わせ部分でタッチの台詞が削除されましたね。壁の文字そのものに変更はないのですが、明言するに当たっては問題があったようです。

策で7割のエリンを戦闘不能にした後は残りとの正面対決となります。流れるようなアクションで殲滅していき、一段落ついたと思われたところで新手である双生タイタンが出現してしまいます。ヨウの反応で双生タイタンが第7話のエリンではないことが読者にほのめかされつつも強敵であることには違いなく、再びの危機的状況です。

一方でエミリアはクーとの会話で彼の興味のある構造者がヨウであることを知り、読者にもヨウがこの事件に救助依頼を受けただけでない関わりがあることがわかります。そして拾因という名前が出てきてきます。今まで第7話と第8話で「イン」という名前が意味ありげに触れられてはいましたが、「拾因」というフルネームが出てきたのはこの話が初めてですね。現時点でも謎が多い人物ですが、この時点では子供のヨウと暮らしていたらしいこと以外は全くの謎でした。そんな拾因という人物が、今回のタイトルが『拾因の繭(空想之因)』という言葉であることもあって、ダーナの繭事件に関与していることが読者に明かされていきます。今回の扉絵の人物もヨウと似てはいますが、第8話で描写されたのと全く同じ黒い瞳や、目が描写される場合は他の顔立ちがぼかされる描き方から考えて間違いなく拾因ですね。

今回の2つの伏線はどちらも第8話のものを回収しているので、片方を発見して読み直せばもう片方にも気がつけるようになっています。