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群青のマグメル~情報収集と感想

ウェブコミック配信サイト『少年ジャンプ+』で連載中の『群青のマグメル』を非公式に応援するブログです。

ファミリーゲーム第3話感想 ~次女もヤンデレそして主人公の挫折

ファミリーゲームの感想

ROUND3 19P

次女の二海はS気質のわかりやすい一や四乃と違って天然ボケ気味の性格ですし、願いも世界平和と3人の姉妹の中では一番いい子であるように見えます。三月もそう思っているのですが、自分の正義を実現するために暴力を厭わない点はあっけらかんとしているのがかえって恐ろしささえ感じさせます。三月を守ってくれるのもむしろ意識させずに独立心を奪うという意味では「強い男になる」という願いの一番の敵になりかねません。世界平和の願いも三月を自分の庇護下から出さないようにするためという側面がありそうです。反感を抱きにくい分こういう相手こそ厄介ですね。

最も反感を抱いている相手である一に対しては時間停止の異能で人形を奪う決意ができた三月ですが、失敗に終わった上に三姉妹の激突の場からも何もできないまま逃げ出してしまいます。前回の引きでは自信満々だったことあってこれは辛い展開です。その後もたった3秒時間を停止させるだけでは解決できない状況が立て続けに起き、自分の根本的な弱さを付き付きられて三月の心は折れてしまいます。確かに能力バトルもので時間停止の能力者というのは能力自体には攻撃力がない分優れた身体能力も持つ場合が多いですね。異能があっても持ち主がそれを活用できなければどうしようもないということです。助けようとしたはずの女性に逆に心配されて優しい言葉をかけられる場面は心底惨めになる気持ちがよくわかって見ていていたたまれなくなりました。前回いじめられる三月を見るのは楽しいとか思っていたのが申し訳なくなるくらいです。

しかし人形を奪うのには失敗したといっても二海の横槍が無ければ成功していた可能性が高いですし、二海から人形を奪われるのは回避できたという点では結果的に時間停止を活用できたわけで、三月が全くの無能ではないということはきちんとフォローが入っています。何よりも父親の御堂が圧倒的な破壊力の異能を発揮する遥に対して食い下がりながら言った「夢のためなら 男は強くなれるんだ!」という言葉が今後の三月の再起を予感させるものになっていることで、今回の挫折もただ盛り下げるのでなく、むしろ燃える展開への期待に繋がるものにしているのは見事です。この場では二人の迫力に気圧されてしまった三月ですが、立ち向い続ける父の姿の意味を理解できる時はすぐに来るはずです。それにしても実に格好良い台詞と演出の御堂ではあるのですが、その夢というのが家族全員の性転換なのを思い出すと落差がひどくて笑えてしまう部分もありますね。女になるつもりなのに男の夢とか言ってるのは高度なギャグなのか何なのか…。詳しい事情が早く知りたいところではあります。

『ファミリーゲーム』は全編お気楽な感じで進みそうだと思っていたので今回のシリアスぶりは少々意外でしたが、弱い自分への苦悩、特にバトルものでのあるはずの資質を活かせずにいる不甲斐なさというのは第年秒先生の作品ではよく出てくる問題であり、思い入れのあるテーマなのかもしれません。『群青のマグメル』でも広少年の描写は短いながらも記憶に残るものでしたし、『長安督武司』では中盤以降重要さを増していく李軽塵(李轻尘)がまさにこの問題を体現した人物でした。余談ですが李軽塵は私が『長安督武司』で一番お気に入りのキャラクターです。第年秒先生の王道少年漫画らしい要素を揃えながらもビターさのある作風は、脳天気になりきらない、あるいはなりきれない価値観をいい意味で反映しているように感じます。