群青のマグメル ~情報収集と感想

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群青のマグメル第23話振り返り感想 ~仲間とシンパシー

第23話 幕間の日常 20P

原題:小日常和世界王(直訳:小さな日常と世界の王)

前回で仲間入りしたクーですが、人類よりも精強な聖国真類にもかかわらず早々にいじられキャラ兼ツッコミキャラと化していて親しみが湧きます。
ヨウにエリンから人間の姿に変わったことへのツッコミを放棄されただけでなく、民族的な服装から今風に格好いい服装に着替えれば今度はヨウたちからはツッコまれるどころかいかにもカッコつけたポーズでかぶせボケを返されてしまうのです。「姿の変わった我に何か無いのか?」という言葉にはヨウの反応を心待ちにしていたことがにじみ出ていて可愛げがあります。ちなみに中文版でこの台詞に使われている「吐槽」はスラングにツッコミを意味する言葉です。まともに会話をしてくれるエミリアに内心しっかり反応しているのも面白いですね。
それにしてもクーの「人間文化」への精通ぶりと馴染みの早さには目をみはるものがあります。探検家から奪った資料とやらには相当に人間の俗な生活に関する情報が含まれいたようで、もしかしたら息抜きのために持ち込まれていたエンタメ系の物品なのかもしれません。クーも人間の子供のように少年漫画を読んで育ったかもしれないと思ってみると余計に親しみが湧いてきます。

今回は息抜き回ということでヨウ定番の守銭奴ギャグやマイペース過ぎるボケで満たされている回なのですが、クーの加入によって掛け合いのテンポが良くなったので初期の頃よりも楽しんで読めます。
今回を第一部のストーリー構成から見ると、最初の5話から成る導入部、クーとエリンの紹介が主題となる前半部に続き、神明阿アミルやその一族の紹介が主題となる後半部の第1話めとなります。後半部では影だけが見え隠れしていた「一族」の輪郭が徐々にはっきりしていくと同時に、一族が覆い隠していたマグメルの真の姿も明らかになっていくのです。
ところで第33・34話は本来2部の前置きとなる部分だったはずなのですが、休載で話が区切られた印象が強くなった影響もあって、第一部と第二部のどちらでもないいわゆる断章とでもした方が私が感想を書く分には扱いやすいですね。
話題は戻って、マグメルの真の姿を知りたがるエミリアですが、ヨウは彼女に家族のいることを理由に深入りを避ける忠告をするという気遣いをみせます。そしてクーはヨウの伝わりづらい思いやりをきちんと察しています。この後の話でも、一見偉ぶったような物言いをするにも関わらず、クーにはヨウの精神状態を理解して思いやる描写が多いのです。幼少期の体格から見てヨウとクーはほぼ同年代なのでしょうが、話が進むにつれ大人ぶりたがっている少年といった印象の強くなるヨウに対して、クーは青さが目立つものの聖国真類の基準では成人体ということで既に一人前として扱われていることがうかがえるようになります。ゼロもヨウのことを理解してはしてはいるのでしょうが、ゼロ自身がどういった人物には謎が多く、大人であるのか子供であるのかさえ私にはまだ判断が付きかねています。