群青のマグメル ~情報収集と感想

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群青のマグメル第26話振り返り感想 ~敵の敵が味方になれるなら

第26話 日常の裏側 20P

原題:认识又如何?(直訳:ヨウをどう認識したのかな?)

クーは前回の引きでは手を貸さないと言っていましたが、すぐに戦う気になってくれてむしろ自分の方が手を出すなと言う立場になります。ちょっとツンデレっぽく見えますが、単純にすごく素直なだけなんでしょうね。結構クーはこういう台詞が多いです。クーが飛び出したおかげで被害がほとんど出なかったことは要塞都市にとって幸運です。ヨウだけで立ち向かっていたらおそらくオーグ―ゴーンが要塞都市の防御機構である程度ダメージを受けてから確実にとどめを刺す形になっていたでしょうから、少なくとも物的被害は今以上のものとなっていたはずです。現在のところ聖国真類は人類の一部と敵対的ではありますが、人類の敵の一部の敵でもありますので、うまく交渉できれば今回のクーとヨウのように共闘の余地があると期待したいです。
クーがオーグゴーンの拳に正面から龍息穿甲弾をぶつけずにまず側面から頭部を狙ったのは、第22話でヨウが龍息穿甲弾と遍く左手の正面対決を避けて喰い現貯める者の頭部を撃破した戦法を意識してのことでしょう。不完全燃焼からの再戦の申し出を断られたこともあってクーはここで自分がヨウと同じ戦法を成功させることで気を晴らしたかったのかもしれません。あの時は明らかにクー優勢ではありましたし、中文版ではヨウが茶化しつつも自分の負けだから再戦の必要はないと言ってもいるのですが、それでもクーには釈然としない部分が残っていたように思えます。クーが時々覗かせるヨウへのちょっとした対抗心には要領のいい弟に対する年の近い真面目な兄めいたものが感じられてなんだか微笑ましくなります。
クーの戦法はオーグゴーンと共にいる人間の行動を考慮していなかったために失敗しヨウの手助けを受けてしまうことになりますが、拳を真っ向から受けてもほとんどダメージを受けていないあたりはまさに聖国真類としての面目躍如といったところです。数十トンどころではない攻撃にも応えていない様子を見る限り、正面対決ならば万全な状態でも遍く左手では撃破は難しそうですね。それに続くオーグゴーンへの大量のミサイル類での攻撃でも凄まじい火力を見せてくれます。ちなみにこの時中文版ではオーグゴーンの皮膚組織の強固さについて言及していて、ただの力押しでなく至近距離で皮膚を破壊したあと距離をとって傷口を集中攻撃するという手順を取っていることがわかるようになっています。
このバトルは短く派手なものではありますが、クーが色々と頭を働かせながら戦っていることも十分に描写されていて見どころが多いです。
ヨウの側もいつもながらの判断力を見せ、ワンシーンで美味しいところを持っていってくれます。「急所は外した」は中文版を見る限りでは「急所は外せた」ではなく「急所を外されてしまった」の方の意味です。必要とあらば人間相手でも躊躇いもなく殺害に踏み切る割り切りの良さは初期からずっと続いてきましたが、それがこのシビアな世界観の中では頼りがいがあるものだともうすっかり読者にも信頼できるようになりました。それでいて時折年相応の少年らしさや人間らしさが垣間見えて、妙に切なくさせられるのがヨウという人物像の魅力です。