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群青のマグメル第69話感想 ~今人還た落花の風に対す

natalie.mu

第69話 小手調べ 24P

ウェイド対ティトールの戦いが始まります。前回のラストから少し時間は遡り、第67話のラストから繋がる回です。まだ互いに小手調べの段階ですが、2人のほのめかされる過去の因縁と、指導者らしく甘さのない判断に期待が高まります。

花の種類

ところで私は今までウェイドのことを、例えば『聖闘士星矢』の魚座アフロディーテのような美を誇る優男だと思っていたのですが、他の方の感想で女性と扱われているのを見て確かにその可能性が高いことに気が付きました。同じような言動をしていても男性と女性では意味も印象も全く別物となるだけに、これはとても重要な問題です。そこで改めて今回よく確認してみたところ、21Pの下段のコマなどで胸部に盛り上がりがあるのが見て取れました。布のたるみの可能性もゼロではありませんが、少なくとも現在のところ、ウェイドは女性当主だと私は思うようになりました。

また、沼のような空間を繋ぐ幻想構造は部下のもののようで、ウェイド本人は盾の幻想構造の持ち主ですね。核構造の爆風から要塞を周辺部ごと守りきった点からすると、盾の背後を守るだけでなく盾を取り巻くオーラ状の部分も含めて防御の対象となるのでしょう。

花と花

ウェイドとティトールが女性同士ということになると、2人の会話、とりわけ若さと美をめぐる会話からうかがえる関係の屈折は極めて興味深いです。まず皮肉込みの戦略にしろ仲直りの話題を出せ、古き友として互いの性格もよく把握していることからすると、やはり150年前の2人は単なる敵同士ではなかったようです。フォウル国が聖国真類を裏切り聖心に侵攻した事件の背景には、フォウル国の先代指導者とウェイドら神明阿一族の結びつきが関わっているのでしょう。そして当時はまだ小娘だったというティトールと若かったというウェイドは、その事件を生き延び、普通の人間ならばありえないだけの時間を経て再びめぐりあっています。ともに美しさを意識し、美しい顔立ちをした2人だけに、その秘められた関係を明かす回想が今から楽しみです。

花と人

現在、長命のエリンであるティトールは順当に成長し、女性としても構造者としても盛りを迎えています。一方、構造者とはいえ人間であるウェイドは、コールドスリープで生き長らえたとはいえ確実に老い、ティトールの若さと美しさを羨んでいます。ですが、ウェイドがこの場にいるのは彼女が若返りをもたらす再生死果を1人だけ摂取しなかったからだと考えると、この場面の彼女の感情が人間による長命者へのただの嫉妬という単純なものでないことが読み取れます。彼女は他の当主たちに先んじてティトールと接触するために、あえて老いた姿を晒すことを覚悟したのでしょうか?あるいは再生死果の出現時に発した「美しく生き 美しく死ぬ」という言葉には、例えば無理に時を遡るのを潔しとしないような、彼女なりの人生観がこもっているのでしょうか?その答えは2人が対峙した先にあるはずです。

2人の激突の他方で、第4要塞に駐屯中のリーたちや元ダーナの繭探検隊である一徒たちの久々のまともな出番があります。一徒は積極的に戦いに関われないことに不満を持ち何かしでかしそうな雰囲気で、これまでの独白を鑑みるまでもなくいかにも不穏です。ただ、この局面で動かなければ最後まで置いてきぼりになってしまうのがほぼ確実な状況だけに、未知へ命を賭す探検家としてはたとえどんな結果になろうと何らかの爪痕は残して欲しいところです。