群青のマグメル ~情報収集と感想

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群青のマグメル第74話感想 ~神と生贄

第74話 雑談しよーよ 24P

神々の領域とされたティトールとウェイドの戦いが本当の一区切りを迎えます。前回はティトールの勝利に終わったかと思われましたが、ウェイド側が即座に反撃を成功させ、両勢力の頂点の膠着状態にまで事態を持ち込みました。

しもべの獣

ティトールの千変万布によるパンダ化はウェイドたち自身によりすぐに解除されます。ですが、短いながらもパンダ化に対する2人の反応は面白く、変身というシチュエーションの楽しさが味わえました。慢心と油断満々にウェイドのお持ち帰りを喜ぶティトールは実に嬉しそうですし、ゴロゴロと転がるウェイドもパンダらしいユーモラスな仕草で、どちらもとても可愛いです。パンダ化ウェイドは千変万布を脱ごうとして失敗するのですが、この時のティトールのセリフと後の描写からするに、動物化は千変万布を対象者が着ている間だけ起きるようです。羽織って一度変身すると脱いでも効果が続くタイプの能力が出る作品もありますが、千変万布はそちらではないですね。

戦士の命

この戦闘は頂点同士のみの対決ならティトールの勝利に終わったのでしょう。しかし第4要塞の隊員たちの参戦により状況は大きく変化しました。

ウェイドの事前の指示に従い組織としてティトールへ攻撃を試みる隊員たちにはプロフェッショナルらしい格好良さを感じます。金妖鎮塔は多人数による構造ですが、3人を上限に完成度を高める合構ではなく、個々人が作った構造を合体させることにより大質量で押しつぶす攻撃のようです。神明阿は多数の構造者が所属する勢力だけに、構造者の連携による戦法の開発も進んでいるのでしょう。パンダ化ウェイドを躊躇いなく攻撃する彼らの決断力も見事です。おそらく後の事態を全て予想できていたわけではないのでしょうが、結果的に大金星を上げる決断となりました。

対して、多少の人数差など物ともしないティトールの強大さもまた素晴らしいものです。超質量弾を小石のように弾き返し、連携攻撃を図る隊員たちも虫を潰すように殺害します。惨たらしい場面ですが圧倒的な暴力の生む不思議な爽快感も溢れています。ただ、一応主人公の仲間でありながら、この格好良さは完全に物語の悪役としての格好良さですね。

そういうわけで、第4要塞副城主に迫るティトールに背後からウェイドが攻撃を仕掛けた場面は、むしろ応援したくなるほどに心が踊りました。たっぷり焦らしつつも距離感の切り替わりの迫力を生かした演出にも見応えがあります。どうやらウェイドは部下の攻撃によって肉片となり千変万布が脱げて変身が解け、完全に絶命するまでの間に五宝真仙を発動させて復活したようです。相当シビアなタイミングで、本当に運を天に任せるところが大きいですね。符の構造は彼女自身の言う通りに非常に制限の多い能力ですが、生贄を捧げて敵の力を封じるようなかたちになるところには、いかにも呪符めいたおどろおどろしさがあります。部下による助力とその死さえも活用したウェイドと、端末化で多くを従えながらも最強生物という個として戦って勝利を逃したティトールの違いは興味深いです。膠着状態に入った2人のにこやかかつトゲのある会話にも心惹かれます。勢力としては神明阿側が有利な状況であるものの、隊員たちひとりひとりの活躍を含めて戦闘の終了まで目が離せません。

ところで復活した瞬間のウェイドは当然全裸です。全裸片足ブーツというマニアックな出で立ちながら、堂々とした態度にスケベ心を挟む余地はなく、むしろ神々しいほどの凛々しさを感じさせます。そういう意味でグッと来るのはどちらかといえば副城主のオーバーサイズの軍服を着せてもらってる姿のほうですね。袖がダボダボなだけでなく、首や肩周りのサイズが合っていない感じが高ポイントです。

無辜の民

第4要塞での戦いの他方、黒獄小隊隊員が聖心城のほど近くに到着します。マグメルの神が眠りから覚めると言われる聖心祭への乱入を彼らは目論んでおり、それに利用するために引き連れてきたエリンたちを第67話では皮肉交じりに供物と呼んでいました。何らかの脅迫で連行したのかあるいは幻想構造による操作なのかはまだわかりませんが、いかにも悪辣な計画を企んでいそうです。ヨウたちの側と直接戦うことになる相手だけにその悪どさにもつい期待が高まってしまいます。