群青のマグメル ~情報収集と感想

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群青のマグメル第84話感想 ~可能性を繋ぐ

第84話 悪役の手 16P

第80話の続きとなるヨウたちサイドの回です。絶体絶命の危機に追い込まれます。

心の通じぬ敵

泡沫の遊びの構造主であるリヴが敵の指揮をとります。のんきに作戦について話し合い、子供砲弾という悪辣な手段を取り、ヨウたちを舐めきって弄ぼうとしていることをじっくりと見せつけてきます。圧倒的に不利なヨウたちはそんな敵に対して受け身に回るのが精一杯の状況です。

リヴがひたすら嫌な敵である点はキャラが立っていて面白いです。黒獄小隊が一度に13人も出ている状況ながら、全く埋もれていません。心中での実はいい人アピールと正当化の言い訳という自己欺瞞が、まさに欺瞞のための欺瞞という感じにノリノリで堂に入っているところもイカしています。同じく悪趣味な作戦を楽しんでいるミミカや、良心というより趣向の問題で不満をあらわにしている夕国など、他の隊員の反応も個性が出ていて興味深いです。

情を捨て切れぬ

クーは見知らぬ他族とはいえ子供を見捨てきることができませんでした。一旦は子供の体に刺さった構造物を吸収して放り出すものの、すぐに喰い現貯める者から出した鎖で拾い上げてしまい、隙をつかれて構造物で串刺しにされます。超級危険生物の聖国真類である以上致命傷ではないはずですが、ただでさえ勝ち筋の見えない状況での深手は絶望です。
クーはスペック的には普段のヨウより格上のはずなものの、良かれ悪しかれ理想主義な性格であるゆえかいつも活躍しきれないところがあります。体はボロボロですがヨウにも力と知恵を絞ってもらうほかないでしょう。神明阿アスス戦の中盤以降と似た状況になっています。しかし戦闘力の乏しい少女のゼロと違ってクーは実力者なので、やむを得ない状況とはいえただの足手まといになれば格が落ちます。できれば手負いのヨウとクーでうまく協力してこの場を切り抜けてほしいです。

空間の隔離と接続

泡沫の遊びの内部は空間的に隔離されていますが、外の様子をうかがうことはできます。そこからヨウは時間を稼げば応援が期待できると推測します。現状のヨウたちで黒獄小隊を全滅させるのは難しいので、それが勝ち筋でしょう。しかし、カーフェは前回で聖国真類の捜索隊を罠であるクエスタの巣に誘導し、今回でリヴに20分程度時間を稼ぐよう事前に命令していたと判明しました。ヨウたちが助かるためには自分たちで何とかして攻撃をやり過ごすだけでなく、泡沫の遊びを早めに解除させるか捜索隊に罠を回避してもらうかのどちらかが成功する必要があります。泡沫の遊びは強者を捕らえるほど消費が激しいそうなので、もしティトールがゼロの体に意識を接続してくれるならば幻想の維持時間を狂わせられる可能性があります。ただしティトールも絶体絶命の状況にあり、この作戦を取るなら彼女に相当の負担をかけてしまいます。

神明阿当主と戦う本体、泡沫の遊びのゼロ、人界で絵本を描こうとしている女性と、現在舞台となっている3ヶ所を繋いでいるティトールはこの錯綜した状況の要です。

また、可能性としてはヨウが因果限界に目覚めることもありえます。この場合はティールとクーにいかに見せ場があるかが話を楽しむためのポイントになりそうです。