群青のマグメル ~情報収集と感想

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群青のマグメル 第2話振り返り感想 ~アウトローな主人公

第2話 魍魎の種 20P

原題:魑魅之种(直訳:魑魅の種)

 ※日本語題の魍魎は「もうりょう」で原題の魑魅は「ちみ」

 

3話連作の第1話目です。このシリーズではヨウの「家族」と構造の能力について少し明かされます。

まだ少年のヨウがそれなりにベテランの拾人者であることや、ほとんど童女といっていいゼロと2人だけで生活していることが読者に提示されて、ヨウたちに何か家族上の事情があることがわかります。今シリーズの読者目線役であるクリクスを通じてマグメル経験は長いはずなのにド忘れの激しいヨウとそんなヨウをフォローする博識なゼロという2人の関係性も見えてきます。また、ヨウとゼロの能力が構造の能力と呼ばれるものであることなども初めて説明されます

第2話の見せ場はマグメルの危険に関する一連の会話とその後のヨウの行動となります。マグメルの危険生物の見せ方は若干既存作品の影響が強いですが、ここで重要なのは「マグメルの本当に恐ろしい存在」についてですね。その恐ろしさはこのシリーズだけでなく『群青のマグメル』全体のテーマにも関わってくるものです。

そして何よりも重要なのが、ヨウが救助不可能な探検家に対して危険生物とともに介錯する判断を下したことです。恐ろしい生物を瞬殺したことも含めて、ヨウの生死に対する割り切りは一見その生物たちより恐ろしいものであるように描写されます。読者はヨウもマグメルも通常の法に守られた世界の常識が通じる相手でないことを思い知るのです。ヨウの価値観は後の話でもわかる通りに浮浪児生活とマグメルの生活で形成されたもので、全体的にかなりアウトローですね。ただアウトローであるが故に、自分の仲間や一種の仁義ともいうべき拾人者の掟と誇りを大切にする性格でもあるわけですが。このアウトローさは後の展開で敵として立ちはだかるであろう神名阿一族が人界の支配者という体制側の最たるものであることを考えると、必然的な要素として設定されています。

後の展開で言うとエミリアが第2話でも登場したことも覚えておくべきことです。前回ではギャグで締めただけのようにも見えるスカイホエール救助依頼ですが、引き続き出てきて今後の話をしたことで、エミリアが第1話限りのゲストキャラクターではないことがわかります。エミリアはマグメルに懲りた父親とは違い、マグメルとヨウに惹かれ続けて離れがたく思っているようです。実際に最新話でもよくわからないことに巻き込まれるという形ではありますが、ヨウと関わり続けています。