群青のマグメル ~情報収集と感想

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群青のマグメル第27話振り返り感想 ~三つ巴とはぐれもの

第27話 世界の均衡 20P

原題:离结局还早!(直訳:決着にはまだ早いのに!)

設定の整理回です。
人間のある一族こと神明阿一族の下では元ダーナの繭探検隊の4人が修行しており彼らへの分析を通じて読者に対して構造の能力の詳細が改めて解説されます。能力のルールを明確化させることはこの先本格化してくのであろう能力バトルを盛り上げる上では必須の要素です。ここでの説明では一般的な能力の程度から大きく外れない現実構造者3人が基準とされることで、一徒とヨウが並外れた能力者であることもわかりやすくなっています。
マグメルをめぐる勢力について整理され、神明阿一族、エリンの部族連合フォウル国、聖国真類という3つの勢力があることが明らかになります。この回に初めて名前の出てきたフォウル国という存在により、マグメルのエリンたちにも一枚岩とはなれない複雑な思惑があると伝わります。そしてこの三つ巴の状態下で、ヨウの師であることしかこの時点ではわからない謎の人物拾因の暗躍がクーの視点から浮かび上がるのです。クーたち聖国真類からすれば拾因は宿敵の1人でしかありません。それでもヨウにとってかけがえのない人物であることは普段通りに振る舞おうとしても生じている違和感からクーには理解できてしまいます。ヨウは拾因のことを信じていますが、読者としてはクーの抱える不安感の方が共感しやすいですね。拾因の正体とは第33・34話の黒い瞳のヨウなのでしょうが、暗躍の具体的な内容は依然として謎に包まれています。ゼロやクーには被害の出るような計画を立ててはいないはずですが、それ以外の人間に対してはどうなろうと気にもとめていない節を感じます。もう一人の自分であるヨウをどうこの三つ巴の中に巻き込むつもりなのかという点にも、読者としては信じたい反面の疑念が募ってしまいます。ここの中文版で使われている「羁绊」という単語は、近年に日本語の「絆」という言葉の訳語として使われるようになったことでそのニュアンスが加わりつつありますが、元々は単に「束縛・拘束」という意味しか持たない言葉でした。拾因とヨウの間にあるものは絆なのでしょうか?それとも束縛でしかないのでしょうか?拾因がおそらく「贖罪」のために自らの決断で自分自身の命を捨てているということが、献身なのか裏のある計画の一環にすぎないのかを、現時点ではまだ判断することが出来ません。
気を取り直してクーは葬送鋼刃の原型の強化を終えたヨウをやや上から目線で挑発してみます。中文版ではクーは「稽古をつけてやろうか?」といった意味合いのことを言っていて、同じ挑発でも兄貴風の吹かせ方に若干の違いがあるところが興味深いです。それに乗っかるヨウを見ても、拾因が親代わりの年の離れた兄貴分なら、クーは年の近い張り合いたい兄貴分といった雰囲気なのが感じられます。最初は得体のしれなかったヨウですが、話が進むにつれ実は結構な弟気質であることがはっきりして、人を振り回すところさえもなんだか可愛く思えてきます。
ムダジのイラストによる読者サービスは、唐突なメタギャグがお色気サービス自体の唐突さもギャグにしているのが面白いですね。『5秒童話』の丁三言、何了了、そして孫又名までも登場しているのが第年秒ファンとしては嬉しいポイントです。18Pのトップレスシーンは日本語版でもさほどきわどいシーではないのですが、中文版では規制の違いためか胸のトップのあたりが大きく白くぼかされていることが本来は無いはずの隠さなくてはいけないものがあることを想像させる効果を生んでいて、逆にエロく感じてしまいました。
ムダジの七聖教の出てくる漫画をゼロは読んだことがあるので、名乗ったときにピンときたコマがインサートされているという小ネタがあります。