群青のマグメル ~情報収集と感想

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群青のマグメル第36話感想 ~謎の鍵とは

第36話 二つの鍵 20P

追記 原題:承载过去之钥 (直訳:過去の鍵の重みを支える)

完全に中文版を追い越して掲載されている第36話です。

救助依頼の対象者はムダジの方でなくトトの方でしたね。男性と一緒に裸踊りをマスターしたということでムダジだと思ってしまい、まんまとミスリードに引っかかってしまいました。ムダジのところに来たシルエットがヨウではなく読者がそう誤認するように演出されたエリンだった時点で気が付くべきだったかもしれません。今思えばトトの裸踊りの情報とは今回の脱衣と同じく原皇からのハニートラップの一環だということになります。
トトのサービスシーンは貧乳娘の洗脳ストリップ(闇堕ち眼風味)というものすごいシチュエーションで初見は嬉しく思うよりただインパクトを感じることしか出来ませんでした。しかしヨウがそれには全く釣られずにお土産に釣られてしまうところが実に彼らしくて頼もしく、私も少し冷静になれました。ヨウの反応に対しトトと同じく原皇の端末になっているスケルガーゴンがビキビキ来ている様子もユーモラスです。では落ち着いたところで改めてトトをよく見てみましょう。貧乳でスレンダーな体型に泣きぼくろのように見える原皇の紋章がアダルトさを添えることでアンバランスなエロスが生まれています。上半身すべて脱いでいるのに肝心なところは見せないことでバストのなだらかなラインを際立たせているのも貧乳を逆手に取っていて高ポイントです。個人的にはもう少し恥じらいがあったほうが嬉しいのですが、それは中身があのオープンスケベな彼女、ティトールである以上は仕方がないでしょう。

そうです。ティトールはやはり原皇と同一人物であったのです。原皇の名前が明言されるシーンではブレスという日本語版で追加された名前が挟まっていることで少しだけ台詞の繋がりが読み取りづらくなっていますが、まだ出版されていない中文版では普通に「原皇」「安帝图儿」(「原皇」「ティトール」)という流れになっていると思われるので、原皇のティトールという名前を拾因から聞いたのを思い出すなどしていてヨウも知っているというだけのことですね。日本語版での原皇の名前はブレス・ティトールだと考えておけばいいのかもしれません。ただしティトールとは言ってもトーン髪でないことや話している内容から、第33・34話の彼女とは限りなく同ポジションの別個体であると断定してしまっていいでしょう。今回はこれまで謎とされてきた設定の多くが明かされ、ほのめかされるだけだった疑問点にもある程度の方向性が見えるようになりました。また、翻訳の際に省略してしまった設定で後の展開に関わりそうな要素のいくつかが提示し直されてもいます。

一方でトトが前から持っていた鍵に加え、原皇が拾因の死体の傍から見つけた鍵という思いもよらなかった謎が出てきました。これにヨウが拾因から貰いゼロにあげたあの鍵を足せば、合計3本の非常によく似た鍵があることになります。とりあえず整理してみると、原皇が拾った鍵は本当にただの鍵なのでしょうし、トトの物もそうでしょう。もし仕掛けがあるとしたら、原皇が今回確認せずに、ヨウから渡される際にゼロが意味深な予感を覚えたあの鍵に何かがあるのかもしれません。拾因が永続する現実構造の模索をしていたらしいことも意味深です。

今回のヨウは拾因の情報が原皇によってダシに使われたということで、珍しく終始余裕がなく不機嫌で、相当に怒っています。助けられた自覚がまだないとは言え、スケルガーゴンを攻撃するヨウのただならない迫力にトトが震え上がってしまう程です。いくら表面上はいつも通り振る舞えるようになったといっても、ヨウにとって拾因の死が与えた傷はまだまだ根深いですね。

ムダジの遭難も後で何らかの回収をするのでしょうがどういう形になるかはまだわからないです。前回新たに出てきてた話題で未回収のものとしては、神明阿一族のうまくいっていない第8大隊の後始末とやらがあるので、そのあたりを絡めてくるのかもしれません。

明かされた謎

  • 第33・34話の世界が今回の話と同一世界ならば、登場人物の成長などの様子から第36話以前であることはありえず、原皇が宝箱を開封して小切手を持ち去ってしまったので第36話以降であることもありえない。従って第33・34話の世界と第35・36話の世界は別の世界である。登場人物の外見などから考えて、第1~32話と第35・36話の世界、そして第33・34話の世界という2つの並行世界が存在している。
  • ティトールとは原皇ブレスの名前の一部だが、この世界の原皇と第33・34話のティトールは別個体である。
  • ビックトー親子とヨウ・拾因は過去に接触していたために、トトとヨウには互いにどことなく見覚えがあった。

(再)提示された疑問点

  • ヨウと拾因の外見がよく似ている理由。
  • ヨウは拾因のことを自分との類似性も含めてどの程度理解しているのか。
  • 偽造不可能な材料でできているはずなのにほぼ同一の鍵が3本存在する理由。
  • 原皇がヨウの構造力を解析したがった具体的な理由とその結果。
  • ビックトー親子とヨウ・拾因の接触の際に何が起きていたのか。

日本語版では省略されていたが提示し直された設定

  • 小切手の入った宝箱をマグメルに設置したのはオーフィス・ビックトー。
  • ヨウと拾因は雰囲気や構造力の質が似ている。

 

2017/06/04 翻訳について追記(2018/11/14 文章を修正)

中文版について確認しました。

やはり日本語版で「原皇ブレス」「ティトール」となっていた部分は、中文版では「原皇」「安帝图儿」となっていました。なお、この部分で「原皇」が「原白王」という表記になっているのはただの誤植だそうです。

また「二つの鍵」というサブタイトルは、確かに今回出てくる鍵は2本なのですが、「群青のマグメル」全体で今までに出てきた鍵が2本だと断定しているかのような印象を受けてしまいやすいと思いました。

もう一箇所だけ中文版との比較で気になった点は原皇の能力に関する説明です。私は日本語版を読んだ時点では、原皇自身の構造はあの分析のための幻想構造で、他生物を端末とする力は構造力とは別種のものかもしれないと考えていました。しかし中文版では怪獣を使役するのに余計に構造力を消費したと書かれており、やはり原皇の端末化の能力は構造力によるものであるようです。また、13Pの「これは私の幻想構造」という台詞も、中文版では「这是朕手下的幻想构造。」であり、「これは私の配下の幻想構造」という意味です。この台詞は分析の幻想構造が原皇自身のものであるというより、原皇が端末化している構造者のものか原皇の部下の構造者のものであると解釈するほうが適当だと思います。どちらの場合でも原皇が実質的に自由に使える幻想構造であるため日本語版の台詞も間違いとは言い切れないのですが、誰がどんな能力を使えるかが重要となる能力バトルものでは、こうした微細な差異が後々に大きく影響してくることがあります。