群青のマグメル ~情報収集と感想

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群青のマグメル 第18話振り返り感想 ~それぞれの「らしさ」

第18話 決断 20P

原題:战士的空想(直訳:戦士の空想)

双生タイタンだけが相手でも窮地に陥っていたヨウたちの戦闘に実は爆発を生き延びていた3頭身のエリンのお頭までも加わり、絶体絶命の状況に追い込まれます。ここで一徒がヨウを即死級の攻撃から逃がすためにあえて攻防体の衝撃波を当てるという機転を利かせる場面があり、前回の動揺を挽回してきちんと頭の切れる探検家であるところを見せてくれます。単行本収録版では写植のスペースの関係か台詞が削られてしまいましたが、ヨウの「助かったよ…」という感謝に対し「どういたしまして」と返しつつも「恩に着れよ」と思っているところも食えない男である彼らしさを上手く表していて面白みがありました。この部分は少年ジャンプ+版のほうが中文版の台詞に近かったですね。

ただ即死は避けられたもの依然として正攻法では勝ち目のない状況にはかわりなく、これを切り抜けるためにヨウは一計を案じ、双生タイタンら相手に一対一での決闘を申し入れます。その後の連携の手際の良さから考えてこの直前の一徒と通信役のゼロにこっそり話しかけていた場面で、実は作戦についても耳打ちしていたとみるべきでしょう。この時にヨウがいかにも「少年漫画の漫画の主人公らしい」格好いいことを珍しく言って一徒たちが複雑な表情を見せるのですが、読者にはまるで一徒たちがヨウの覚悟に驚いているように見せつつも、本当はヨウの口の上手さに引きつつも感心しいる場面ということになります。

一騎打ちの提案はエリンの2人には利益のない提案のはずなのですが、戦士としての誇りを刺激する内容だったことで、双生タイタンは今までも理知的な性格を覗かせていた3頭身のエリンのお頭の忠告を振りきって提案に乗ってしまいます。圧倒的に優位な立場にあることでの油断もあったのでしょう。こうしたただの化物とは違う「人らしい」面が彼らの破滅を招いたのは皮肉な話です。

そしてヨウは全力の善戦で双生タイタンの注目を正面の自分だけに向けさせ、側面からの攻防体の奇襲を成功に導きます。瞬間移動可能な攻防体の性質と思わぬ方向からの攻防体の衝撃波という今回の前半で出てきた要素が上手く作戦に活かされいます。「少年漫画の主人公らしからぬ」卑怯さではありますがこうした機転こそがヨウらしさです。こんなヨウがいわゆる少年ジャンプの三大原則を宣言するギャグは彼が主流からやや逸れた人物像であることを浮き彫りにしつつも、苦戦を突破したことでの純粋な爽快感があります。作戦が上手く嵌り得意気になるヨウ、ヨウの魅力を再確認するゼロ、2人に若干引いている一徒という3人の個性が出た場面もユーモラスです。