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ファミリーゲーム第1話感想 ~バトルロイヤルのお膳立ては十分

ROUND1 50P

『ファミリーゲーム』は第年秒先生が初めて日本の集英社から直接の依頼を受けて執筆した作品となります。なのでもし今後中文版が発表されたとしても、オリジナルは日本語版の方と考えた方がいいでしょう。登場人物も最初から日本人として設定されているようです。現代中国を舞台にすると緩和されたばかりとはいえ一人っ子政策のせいで少数民族や特殊な事情がないと兄弟がいる設定にできないんですよね。ちなみに第年秒先生は四兄弟が主役格の漫画として、舞台が中国唐代の『広武威衛局』という作品も以前執筆しています。

これはジャンプ+編集部からの依頼ということでジャンプ+の色に合わせたデスゲーム風のバトルロイヤルもの(但し死人は出ない)ですね。短編などでは実験性の高い作品を描くこともある第年秒先生ですが今回はエンタメ方向に振り切った作品になりそうです。全5話の短期集中連載、しかも連日更新ということもあって疾走感の溢れる内容が期待できます。

 

「三月お兄ちゃんをお姉ちゃんに… 女の子にしてください!」

願いを叶える力をめぐるバトルロイヤルものとは言っても、相手は家族でしかも全て人形を奪うだけでいいということで気軽に読めても緊張感には欠けそうと思うやいなや、四乃のとんでもない爆弾発言です。しかも両親も三月を女の子にする願いを宣言してしまいます。もしかしたら母親はあえて三月に発破をかけていると取れなくもないのですが、父親と四乃は間違いなく本気です。これはもう是が非でも主人公である三月が勝ち抜くしかないと読者にも納得できる一方で、バカバカしくて笑えてしまうというエンタメとしてよく出来たネタです。冒頭から一貫している三月の強い「男」になりたいという思いがこれ以上なく本気で実現するべき「願い」として『ファミリーゲーム』の中心となりました。

全5話ということでバトルロイヤルものとして必須の登場人物の人柄、願い、異能を含む技能の全てが第1話のうちにテンポよく描写されています。長編の場合はこれらの要素を解明していくことも面白さの1つになりますが、『ファミリーゲーム』は主要人物が全員家族ということもありますし、手の内がわかった上での駆け引きに絞るのは正解でしょう。

この回で三月の次に描写が多いのは初めにバトルする相手となりそうな四乃です。一見ロリロリしくて内気とおもいきや、いきなり三月の恥ずかしい動画をネットに拡散させたりとネジの飛んだことをしでかし、その後もイイ性格なのをうかがわせながら終いにはあの発言です。授受時は魔法少女風の演出でごまかしていましたが、人間を獣にしてその主人になるという異能も相当にエグいです。ラスト5ページはその禍々しさが余すことなく表現されています。他者を傀儡にするという異能は子役として普段から不特定多数のファンの上に立つ四乃だからこそといった感じですね。余談ですが、26Pの背の低い四乃が人形を取るために椅子を取ってきてスリッパを脱いで裸足になり、スカートから生脚を覗かせつつ椅子の上に立つという描写がどことなくフェテッシュです。ことさら強調されていないのに妙にロリータさと生脚が印象に残ります。

 

その他

  • 家族のコスチュームはそれぞれ異能の内容を反映したものになってるだけでなく、四兄弟には胸の部分に生まれた順番もデザインされています。わかりやすいのは第三子の三月の3S(3秒)と第四子の四乃の左胸の4つのつぼみですが、第一子の一も谷間の1つの穴、第二子の二海も両胸に2つのエンブレムがあります。
  • 三月の異能が時間停止だということで、異能の授受の35Pと同じ見開きの34Pに父親が男をやめるなどと言いながら石仮面を持っているという『ジョジョの奇妙な冒険』のディオのパロディがあります。それぞれ「ザ・ワールド」ネタと「おれは人間をやめるぞ!ジョジョ──ッ!!」ネタですね。
  • 個人的には変身後のコスチュームも含めて一番外見が好みなのは母親の遥です。可愛い目の絵柄なのに上手く加齢が表現されていてなおかつ妖艶さも感じさせます。変身前のトップスが横縞でゆったりした長袖なのも巨乳さを強調しつつあえて隠すという芸の細かいポイントです。変身後は一転して上半身がタイトなノースリーブになるのもいいですね。下半身は裾のたっぷりしたロングスカートで念動力による浮遊感を表現しつつ脚のチラリズムも目に楽しいです。