群青のマグメル ~情報収集と感想

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群青のマグメル 第12話振り返り感想 ~見つめる目

第12話 力の在処 20P

原題:空想世界的原著者(直訳:空想世界のエリン)

今回はそれまで読者にとっては人間に似ている分余計に意味不明の化物としか思えなかったエリンについての説明があり、まだわからないところは多いなりにも彼らは彼らの理屈や理由を持った生き物だということが理解できるようになります。

その象徴として基本的に読者目線のキャラのエミリアと初対面のエリンのクーとの間で、一応はコミュニケーションが成立します。最初はクーはエミリアの名を聞くこともなく(ちなみに第33話現在まででクーが個人名を呼んだことのある人間はヨウと拾因だけです)自分の言いたいことを一方的にまくしたてて、声をかけたついでとばかりにエミリアを殺そうとさえします。しかしエミリアが構造者について知っているのに気付いて興味を持ち、後から来た面倒な奴から離れるためにエミリアの手をとって同じ場所へ移動します。ここでかなり一方的ながらも2人の利害が一致した行動が取られるわけです。

その面倒な奴とは双生タイタンのことなのですが、先に述べたようにここではヨウたちを急襲した異形のエリン、つまり喰い現貯める者とミスリードさせています。頭から首周りのシルエットはそっくりなのですが、細身の喰い現貯める者とはよく見ると体型が異なり、何よりも2人のいた場所を見つめる眼光の処理が全く違っています。『群青のマグメル』は目の描き分けに力が入っていて、ミスリードの種明かしもまず目から始まることが多いです。

一方でゼロと一徒たちは前回に引き続き構造者の資質に関連した話をしています。そして極星社社員救出は名目でしかないという一徒たちの推測がゼロによって裏付けられ、真の目的は探検家の中から構造者に目覚める人物を出すことだったという結論が出されます。もちろん裏で手を引いたのは神名阿一族です。そしてダーナの繭が一種の構造物だという話題からその構造者であるマグメル大陸、それを宇宙から観測する人工衛星、とカメラが一気にズームアウトします。ここで注目したいのが人工衛星に神名阿一族の紋章であるあの目のマークが刻印されていることです。人工衛星の目であるレンズをアップにしたコマが挟まり、観測施設からヨウたちの様子を探る神名阿アミルの姿に場面が移ります。ここではまだ自身の目が描かれることはない神名阿アミルですが、様々な目のモチーフが重ねられるとともに人工衛星を自分の目として使うことで、何気ないような態度を取りながらも彼がこれ以上ないほど関心を注いでヨウたちを見つめていることが強調されます。左の掌に目のマークがしっかりと描写されていることも芸の細かいポイントです。