群青のマグメル~情報収集と感想

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群青のマグメル第45話感想 ~心動かされる相手

2017/10/08 翻訳について下部に追記

第45話 合構 20P

追記 原題:亚伯撒斯 (直訳:アスス)

前半は戦闘パートというよりも戦闘仕立てでの神明阿の構造者たちの解説パートですね。

壱八獄中隊の構造者は人類の中での精鋭なのは間違いありませんが、3人がかりでもヨウの足元にも及びません。相手になれるのは黒獄以上の実力者だけのようで、神明阿一族が巨大組織ではあってもこと戦闘に限るならヨウたちにも勝算が見いだせないわけではなさそうです。

合構についての説明は、今までの描写から推測しつつも言葉として確認しておきたかった内容を簡潔に抑えていて、バトルものとしてワクワクします。また、説明の回想でヨウ・ゼロ・クーの3人が火鍋子を囲んでいるですのが、こういうちょっとした日常描写にいい味わいが出ているのがみんなキャラが立っていることの強みです。ビルの屋上で鍋をやっているというだけでもなんだか楽しそうなのですが、クーだけが二段重ねのブロックらしきものの上に座っているのが余計に面白いです。クーは高いところが好きですからね。あるいは聖国真類には食事中に地べたに座るのを好まない習慣があるのかもしれません。

ヨウは壱八獄中隊の構造者を手早く格好良く倒すのですが、その後にやるのがよりによって財布のかっぱらいです。ヒドイです。正義を自分の都合のいいように解釈して利用しているのがさらにヒドイです。間違ってもコイツは正義の味方じゃないな。ただ、ヨウは社会正義・一般常識からは完全に外れた人物ではあっても、ヤクザなりの仁義というか無頼漢なりの筋というかがあるのは今までもちゃんと描写されています。常にどこかしら逸脱しつつも情があるところがピーキーな魅力であり、そんな人物を主人公としているのが『群青のマグメル』という作品の面白味です。またヨウの人物像を考える上で踏まえておきたいのが後悔に満ちた拾因の姿です。拾因はほぼ間違いなくゼロとクーを、あるいはビックトー親子とティトールをも失ったヨウなのです。飄々とし何にも縛られないようにふるまいながらも、血の繋がらない家族を失ったことでどれだけ彼の心が揺さぶられ、そして避けられぬ死に臨む決断に至ったのか、それは現在のところただ想像することしかできません。それでもなおさら、私は拾因がそう望んだようにヨウがヨウ自身として幸せになることを願いたくなってしまうのです。

そして後半は神明阿アススとトトの対話パートです。

トトは実の父と共有した夢を大切にするだけでなく、その夢に基づいて見ず知らずの相手の幸せにさえ喜びそのために行動できる心を持っています。トトはマグメルで幾度となく危険に巻き込まれ、人間から強盗にあう描写さえ何度もあり、彼女の言葉は決して世間知らずな綺麗事ではないのです。

そんなトトに対して、神明阿アススはトトのように良い人間だった妻を殺害した過去を告白します。アススの妻は性格や表情の印象だけでなくいわゆるアホ毛までトトと印象が重なるように造形されています。アススは特別な人間ではあっても血の繋がらない家族にすぎない妻を殺しても何ら心動かされることはなかったと語ります。強さを得た対価に心が動かなくなり、血の繋がる家族としか繋がり得ないとも。そしてそれらは彼の中では真実なのでしょう。ただ、そんなことを初対面のトトに告白してしまったのは、妻の面影のある女性と出会って彼の中の何かが揺らいだからに他ならないのではないでしょうか。

ヨウ、トト、神明阿アスス、この3者の「家族」に対する思いがどう絡み合っていくのかが、今から楽しみです。

それにしても神明阿アミルと神明阿アススは顔が全く似ていませんね。アミルの小さな瞳孔が実線で囲まれた目と、アススの眉頭の太いカマボコ型の眉と彫りの深い目鼻立ちは、特に違いが大きいように感じます。

実は『群青のマグメル』にはアススと同じ瞳と眉を持った人物がもう1人登場しています。

左の手の甲に神明阿直系の家紋を刻んでいるアススに対し、左の手の平に神明阿直系の家紋を刻んでいる彼が本当は誰なのか、私ももう一度詳しく考えてみる必要がありそうです。

 

今回ちょっとだけ気になってしまったのが神明阿アススの台詞の「動かぬ心~対価なのだろうなぁ」です。文脈上絶対勘違いしようがないとはいえ、ここの文字だけを見た場合は逆の意味に捉えられかねないと思います。

あと書き忘れの追加を。前回トトが脱臼したのは左腕となっていましたが、前回暴漢に引っ張られたのも今回痛がって抑えていたのも右腕であり、誤植でしょう。

 

翻訳について追記

日本語版で

「だが実行してみたらなんてことはなかった」

「殺す前も殺した後も鼓動が乱れすらしなかった ただの1つも……な」

「動かぬ心それこそが…」

「強い力と引き換えに儂が神に差し出した対価なのだろうなぁ」

と翻訳されている部分は、動かぬ心を対価として差し出した、つまり妻を殺した後で強くなり今は心が動くようになったと読めかねないと上でも軽く触れさせていただきました。

中文版では

「可我连心速都没有变化,」

「杀她之前和之后,没有任何改变。」

「这大概便是……」

「获得了强大力量,而付给神明的代价吧。」

であり、直訳すると

「だが胸の鼓動の変化さえ儂には現れず」

「殺す前と後とで いかなる変化も現れはしなかった」

「おそらくそれこそが……」

「強さを得るために神へ支払った代償だったのだな」

となります。

中文版ではそれ(=妻を殺すことで現れるべき心の変化)を神へ支払った、つまり当時は既に強くなっており今に至るまでずっと心に変化が現れることはないという内容が引っかかり無く読み取れます。

また

「神明阿直系の家紋!?」

 となっている部分は

 「未神明阿直系家族的斑纹!」

 であり、「斑纹」という言葉のニュアンスを考えるに、上祖様の左の手の甲や若様の左の手の平のあの模様は、刺青などの人工的に刻まれたものでなく、一族の直系だけに生まれつき備わっている特殊なアザのようなものなのかもしれません。