群青のマグメル ~情報収集と感想

『群青のマグメル』と第年秒先生を非公式に応援

群青のマグメル第31話の2P目の追記

第31話の感想の追記ですが量が多くなったので独立したページを作成しました。

この話の2P目の文字だけのページでは重要な事柄が多く示唆されているのですが、日本語訳は中文版との内容の差異が大きい箇所もあり、全文を引用して注釈をつけさせていただきました。

 

 ヨウ

 もちろんヨウの名前で、5回出現しています。

中文版でも「又」という表記なのですが、漢民族にとって漢字一字の名前を敬称などもつけずに単独で呼び捨てにするのは、実の家族でさえ滅多に使わないほどの最上級の親密さを表す呼び方です。この場合は2人が師弟という親子に準じる関係であるためでしょうが、拾因にとってはヨウが自分と非常に近い存在であることから弟や息子のように感じてしまったためなのかもしれません。

拾因以外でヨウを呼び捨てにするのはクーのみです。流石のヨウも名だけを呼び捨てという特別な呼び方をされればすぐにクーを思い出せるため、中文版ではクーはマスクを外すコマまではこの呼び方をしません。クーの場合はヨウと親友だというだけでなく、漢民族の礼儀を理解しない「野蛮人」だという演出でもあるのでしょう。

ですが「野蛮人」のクーでさえも、中文版では喰い現貯める者を通じてという裏の読みうるコマ以外では、拾因のことは拾因という普通の呼び方をしています。

 

俺? 俺は拾因よろしくね

イン?それ俺のこと?
愛称なんて久しぶりだなぁ

上の文章の中文版を直訳すると「俺のことは拾因って呼ぶんだよ」、下は「なぜ阿因と呼ぶんだい?俺たちそんなに仲良くなったかな?」となります。

漢民族にとってはフルネームで呼び捨てにするのが最も一般的で当たり障りのない呼び方です。

日本語版のインという呼び方では愛称になりません。阿~という呼び方ならば、年下か同年代へ使うのが基本の愛称となります。年上の友人に使うこともありますが、師に対して使うことはまずありえません。ヨウとっての拾因は尊敬の対象というよりも、親しみを感じる友人や家族に近いものなのでしょう。もしかしたらヨウは拾因と自分の近さを本能的に察していたのかもしれません。

 

記憶力悪いねヨウは

 ヨウはマグメルの用語からクーの名前までなんでも忘れます。いわゆる話を進めるのに便利な設定というものです。ゼロがマグメルの設定を説明するのにも、作品として後で明かしたい設定を隠しておくのにも便利です。

ただ、とっさにクーの名前が出てこなかったのはともかくとして、第年秒先生のコメントによれば派手に言い間違えたのはわざとなのだそうです。ヨウはとらえどころのない冗談をよく言いますね。

 

これがダーナの繭
マグメルでも特別な場所さ

クスク諸島でダーナの繭が発生したのは拾因の故意によるものだという疑惑は晴れていません。繭がなければヨウとクーは再会できなかったかもしれないことは、拾因の計画の方向性を推察する上での重要な手がかりとなりそうです。

 

また負けたの?

幼いヨウとクーが喧嘩した時のコメントです。
拾因はヨウにエリンと接触しないように忠告していましたが、聖国真類の子供と出会ったことを告げられた後もしばし悩んでその相手と喧嘩し続けることを止めませんでした。相手がクーであることを察したのでしょうが、その時拾因の胸にはどんな想いが去来したのでしょうか。

 

ヨウは本当に逃げるのが上手だなぁ

幼いヨウとクーが喧嘩した時のコメントです。

拾因も黒い瞳のヨウも逃げ上手でした。しかし拾因の死体が発見されている以上、やむを得ない事情の故か自分の感情に従った故か、彼は最後まで逃げ続けることはできなかったのです。

 

もしあの人を見つけたら
その時は頼むよ

ヨウが人界に戻された後の行動についての指示だと思われます。あの人とはおそらくゼロもことでしょう。

 

あの父親と娘
面白いねぇ

中文版を直訳すると「あのオッサンと娘は?」となり、見知った顔を発見したときの言葉だと思われます。おそらくオーフィスとトトのことでしょう。ヨウが親子と出会ったことを忘れた理由に裏があるのかどうかはまだわかりません。

 

神名阿と原皇には関わるなよ

 この世界の拾因にとってはこの2つの勢力は邪魔者です。黒い瞳のヨウと、その世界のティトールとの関係はどうなったのでしょうか?そして別個体とは言え、なぜ2つの世界でティトールの立場は異なるのでしょうか?もしかしたら拾因が何か関与したのかもしれません。

 

これは喜びの顔さ

拾因はよく「~の顔」という表現を使います。仮面を被っているのであろう他人の前ではもちろんのこと、素顔で接しているはずのヨウの前でさえもよく使います。

拾因が白髪であることと合わせて考えると、家族を失った精神的ショックで上手く表情をつくることができなくなったのかもしれません。

 

現実構造の限界は
永遠の構造なんだよ

中文版を直訳すると「現実構造の極致とは永遠の現実なんだよ」となります。現実の物体だと思われていたものが実は現実構造だと発覚するといった展開がこの先にあるのかもしれません。

 

その剣 ヨウと相性が
いいみたいだね

中文版を直訳すると「その品物の持ち主 君を手助けできるかもね」となります。
日本語版ではヨウが危険生物の腹から脱出する際に手に入れた愛用の剣についての言及になっていますが、中文版では状況の特定が難しいです。

 

もう少しだよヨウ

修行中の師弟らしい会話です。

 

頼んだよ

あの約束……

拾因が願った「世界を救う」という約束が、現在のヨウにとっては一番の指針となっています。