群青のマグメル~情報収集と感想

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群青のマグメル第41話感想 ~未来へ向かうために

第41話 バカンス 20P

追記 原題:去度个假吧 (直訳:休暇を過ごしに行きましょう)

2017/07/18 微修正

『群青のマグメル』第4巻が7/4(火)に発売されました

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第34話から休載の間もずっと心配させられていたクーたち聖国真類の未来が前回でひとまず希望を持てる状態になったことで、今回は展開の進行に一息ついてのバカンスとゼロの掘り下げへの導入の回です。

まずこれまでの展開への区切りとして一旦トトと別れるのですが、その際のトトの言葉は再開後からだけでなく今までの『群青のマグメル』のストーリー全体の総括になっています。

トトがここでマグメルの冒険へのロマンと希望を語ってくれたことには、改めて目を覚まさせられる思いがしました。最近の展開では神明阿をはじめとした欲望や陰謀絡みでの征服戦争のためのマグメル探検がクローズアップされ、私の関心もそちらへ向きがちでした。しかし未知への憧れと挑戦とはやはりロマンが溢れるものであり、少年漫画が追うべき夢の形でもあるのです。

また、今回の救助に感謝するだけでなく、ヨウの拾人者という生き方そのものを肯定する見方を示してくれたことにもジンとします。ヨウは人界ではどの権力の庇護も受けず、マグメルに関わるほとんどの人間が選ぶ探検家ではなく、ましてマグメルで生まれた原住者でもなく、どこからも独立して孤立しているようにさえ見える時がありました。ヨウ自身が第8話で自分の生き方を「賢い人間にはなれそうにない」と自嘲気味に評したのも彼をより寂しげに感じさせました。ですがそれは一面的な捉え方に過ぎなかったのです。拾人者の仕事とはマグメルで失われかけた命を人界の家族の下へ帰還させることであり、マグメルへ挑みたいという冒険者のロマンそのものを絶やさないようにすることです。マグメルと人界の双方に関わり、繋がりを守ることこそが現在のヨウが選んだ生き方なのです。これまでだけでなくこれからもそうあるために、ヨウは今彼自身が全貌の見えない相手へ挑もうとしています。そんな時に同じくロマンの支えになることを選んだ人間から応援され、別れてからふと見上げて気付いた空の広さ。それは何もかもを包み込んでくれるようなものだったのではないでしょうか。

その先に待ち受けているお楽しみが今回のメインイベント、未来を先取りした姿のゼロとのバカンスデートです。画的にはまるで高校生同士のデートのようで、青春映画的なムードに溢れています。成長後のゼロの外見年齢は15、6歳。スレンダーな体付きではありますが、涼やかな目元はむしろ肉体以上に大人びた印象を与えます。すらりと伸び、程よく肉の付いた太腿が眩しいです。日本の学校の制服風のコーディネートは女子高生の印象を強く読者に植え付け、児童どころかコマによっては幼児に見えていたゼロのイメージを一変させてくれます。特にトレードマークだった子供っぽい猫耳カチューシャをシャクヤク風の花飾りに置き換えているのが効果的です。一方で色は違うものの、プリーツスカート・丈が短くて手元が隠れるほど袖が長い上着・首元のタイというコーディネートが黒い瞳のヨウと共にいたゼロとほぼ同じなのがニヤリとできていいですね。

ヨウにとってもこの成長は衝撃だったようでなかなか面白いリアクションを取っています。あからさまにヨウを異性として意識しているゼロとは違い、ヨウのほうはゼロを純粋に家族だと見なしていそうですが、もしかしたらこの件で少しは見え方が変わってくるのかもしれません。ただ周囲から色恋を向けられてもひたすら朴念仁なヨウなので、たとえ関係が変わるとしても終盤の終盤でのことにはなりそうですが。

そして話の焦点はこれまでほとんど未解明だったゼロの過去へと移っていきます。ゼロの実年齢が11歳であることと、5年前に拾因からの依頼によってヨウが研究所らしい人工島から救出したことが判明しました。ゼロは年齢こそ見た目通りの子供でいいようですが、やはり「ただの」子供ではないようです。おそらく成長は普通にできているのでサイボーグなどの類ではなさそうですが、例えばデザイナーズベイビーであるとか身体に改造を施されているとか特殊な英才教育を受けたとか、何らかの研究の対象となっていたようです。

また私がゼロについて気になっていたことのひとつに、黒い瞳のヨウと共にいたゼロよりも見た目は幼いはずのこちらのゼロのほうがマグメルの冒険や財宝に対する態度をはじめとして大人びた言動をすることがあったのですが、それはヨウの違いから生じた影響によるところが大きいようだとわかりました。まず、拾因への憧れからヨウの拾人者という仕事への自負がより強くなったことがゼロの価値観にも反映されているようです。またこちらのヨウは保護者が得られたことでかなり弟気質な部分が出ていて、そんなヨウと支え合ってきたことでこちらのゼロはこましゃくれた世話焼きの妹的な性格になったと推察できます。さらに、黒い瞳のヨウとゼロの出会いはほぼ不明ではあるものの、拾因の依頼がないことからそのゼロは研究所の外に出られた時期が遅くて精神的な成長の機会が少なかった可能性もあります。ここで2人のゼロの違いが念押しされたのは、オーフィスの病死が明言されたのと合わせて、主要人物が皆二重に存在していることのヒントを改めて強く示すためでしょう。

ゼロについて今私がちょっと気になっているのが拾因が自分で救出しなかった点です。これから共に生きていくことになるヨウに助けさせたかっただけかもしれませんが、何か別の事情もあるかもしれません。

他方で、ゼロの研究との直接的な関連は不明ですが、神明阿によるマナナンバスティオンでの人体実験の描写があります。この装置は第32話に出てきたものと同一のものです。長身の実の保存装置と連続して描写されることでコールドスリープの解除実験であるのが示唆されていますが、目を覚ました老人たちの正体とは何なのでしょうかね。