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『屍者の13月』第5話感想 ~気が長い話

第5話 千年一会 26P

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西暦525年の白大は姜明子から丹薬を受け取りました。白大は村人を治療するために苦労して薬草を集めていましたが、それを亡くなった友人を埋葬する際の獣避けのために惜しげもなく使うほど素直な男です(おそらく薬草はまた集め直すつもりなのでしょう)。白大が伝承にあるような悪巧みを考えられたとは思えません。まだ隠された事情があるはずです。丹薬を渡した直後の姜明子のセリフはこの話の最後で1906年の同月令と繋がった瞬間のセリフと一致していました。法屍者を確認した後に意味ありげな反応をしていたことを併せて考えると、1906年の伝承と525年の事実が食い違うなんらかの事情に触れたのでしょう。しかも表情からしてそれは好ましい事情ではなさそうです。

西暦525年の白小小は村に帰ってきました。子供との会話からすると白小小は薬の処方ができるようです。南北朝時代に100人近い村人が息絶えた程度の話が1000年以上に渡って伝承されている一方で、その子孫が白姓を名乗って村に住み続けており、さらに薬師としての仕事まで受け継いでいることになります。この地域は最近までよほど何の波乱もなく平和だったのでしょう。

そのせいか村長たちの行動は完全に意味不明です。前回の白小小のセリフによれば、去年に現れた法屍者は村人全員の命を要求し、まず白小小の父母が生贄となったとのことです。ですが村長も他の村人も白小小の一家を犠牲にすればそれで他の村人全員が助かると思い込んでいるようにしか見えない行動をとっています。高皓光が言うように次の法屍者の訪問で即座に村が全滅してもおかしくない状況ですが、村長は法屍者が信義に厚くて村を守っていると主張します。あるいは無理にでもそう思い込むことで自分自身に正常性バイアスをかけようとしているのでしょうか。

村の大人たち皆がおかしくなったという結果は示されていますが、経緯や個々人の感情がよくわからないので私には彼らを非難しかねるところがあります。3人を縛ったのは村人ですが、そもそも法屍者に引き渡せば父母同様に殺されるだろうことをわかっていながらも高皓光と黄二果を村に連れて来ようとしたのは白小小です。しかし若い女性である白小小が目の前で殴られて高皓光が激怒したのは当然であり、この青い正義感が前向きな方向に生かされることを期待したいです。

それにしても情報量が多くて展開の進展に時間がかかるせいか、登場人物たちは皆やたらと腰が重いですね。皆とろとろ歩いていたり座りこんでいたりしています。